隣のクラス【スパイファミリーss】
スパイファミリーの二次小説です。こちらは短編になります。
昼休み
「おい、ちんちくりん。消しゴムよこせ」
「なんだ忘れたのか、じなん」
お昼休みのチャイムが鳴り、色とりどりのお弁当箱を並べ始めるたり食堂に向かう生徒がいる教室。アーニャとベッキーも授業の復習(一方的に教えてもらう)をしていたところに声を掛けられる。
2年生にあがってクラスが変わってからしょっちゅううちのクラスに来る。アーニャに話しかけるたびにベッキーが追い返してるけど。
そしたら「ユーイン達に会いに来たついでに声かけてやってるだけだ。勘違いすんじゃねえ、ブーーーース」とか言ってくる。
入学式の時みたいに必殺パンチをお見舞いしようと毎回思っているけど、なんとか思いとどまってる。
アーニャ成長したから知ってる。はは直伝のパンチはここぞという場面で使うもんだって。
あと、ここ最近はなんかじなんのこころの声が変。
(あ~~~~//// なんだよ消しゴムって、もっとましな言い訳はないのか俺は。クラス違うから消しゴム使ってること知らないからいいだろうが、近ごろはブラックベルの娘にはバレてそうなんだよなぁ。アーニャにはぜってー言うなよ)
こころの声早口で何言ってるかほとんど聞き取れないけど、アーニャのことアーニャって言ってる。口では言わないのに。
「おいおい、庶民は消しゴムすらもってないのか」
(もっと言い方があるだろ、俺様に貸せとか)
「ちょっといきなり来て失礼じゃない、アーニャちゃんに謝りなさい」
(も~~我慢できないわ。これが昨日のドラマでやってたツンデレってやつなのね。早くデレの部分を出しちゃいなさい)
ツンデレってなんだ?
ツン(氷)+ デレ(ソース) = 新しいかき氷
おいしそう!!ベッキーだけ独り占めずるい。絶対今度一緒にその店連れてってもらう。
「仕方ないな、アーニャのかんだいなみこころに感謝するがいい」
ああ、アーニャのボンドマン消しゴムが……
このまえもキメラさん鉛筆を貸したし。そして帰ってこない。「うちの関連会社で作ってる高級鉛筆だ、ありがたく使えよ」普通に新品を返してほしい。
「お、おう。ありがたく使ってやろうじゃないか」
「アーニャちゃんたら甘いんだから。もっとこいつに厳しくしていいのよ」
(え~い、余計なことを言うな、ブラックベル)
まあ別にアーニャ的にはちゃんとボンドマン消しゴムが帰ってくればそれでいいから
「大事に使うんだぞ、ちゃんと返すんだぞ」手をギュー
(ふぉ~~~~~!!どどどうゆうことだ、普通に渡すんじゃなくて手を握ってくるとか。てか手やわらけえ、もちもちだ。向こうが握ってきたってことはこっちも握り返してもいいんだよな、そうだよな。)
よくない。こっちは消しゴムが帰ってくるように念を押しただけ。ボンドガールが言ってたこと全くあてにならない。
(まてまて、こいつのことだから無意識のうちにやったに違いない。ここはデズモンドとして毅然とした態度を見せねば)
「て、手を放せ!もうわかった、放課後も来るから絶対買えるんじゃないぞ」
何考えてたかよくわからなかったけどすごい速さで教室出ていった。アーニャの手が気持ち悪かったのか、ショック!
「キャー、アーニャちゃんこれはデートよ」
「そんなわけない、アーニャ嫌われてる」
「あれは照れ隠しっていうのよ。デズモンドは正直になれないのよ。こうなったら放課後すぐレストルームでおめかししないとね」
「化粧はアーニャには早いってははが言ってた」
「綺麗なアーニャちゃんを見たらきっとおいしいお店にも連れて行ってくれるわよ」
「おお、それはいい。ははに内緒でおめかし!」
ツンデレが食べられるかも。
放課後・ダミアンのクラス
放課後の時間を待ち遠しく感じたのなんていつぶりだ?
こ、この俺様が待ち遠しいだと、今日がいつもより疲れている証拠だ。きっとあいつのせいだな。
「ダミアン様~!」
「何だ?」
こいつは父上の部下の部下の息子か、同じクラスになってからやたらと媚びへつらってくる。ユーイン達と違い俺の家柄しか見てない、いざとなったら平気で裏切るんだろう。
「さっきの算数の授業から思ってたけど、その消しゴムカッコいいすね!ちょー似合ってる!そんなの持ってましたっけ?」
「あー!それ私も思った!ダミアン様ってシンプルな持ち物しかないから新鮮っていうかカッコよかった!」
続々と周りに人が集まってくる。こいつみたいなやつらはどうしてこんなにわらわらと集まってくるんだ。
「ああ、これは借り物だから普段から使ってるわけじゃあない。」
出したままでいることに気づかねえなんてやっぱりよほど疲れてるんだな。今日は早めに寝るか、いや中間テストのために復習をしなければ。
「へー!誰から借りたの!ちょっと私にも見せて!」
「触るんじゃねえ!!!!」
自分でもびっくりするくらいの大声でとっさに叫んでしまった。
周りの肩がビクリと震え、怯えたような目を向けてくる。
べっ、弁解しないと…
「も、申し訳ありませんダミアン様……」
「あっ、いや、違うんだ。お前たちが悪いとかではなくて、この消しゴムはその、俺の大事な奴から借りたものだから。その、俺様だけの思い出というか、宝物というか、独り占めしておきたいというか………とにかく触れてほしくなかったんだ!」
「「「「・・・」」」」
言い訳に言い訳を重ねようとすればするほど余計なことまでつらつらと話してしまう。鏡を見なくてもわかる。今誰に見せたこともないくらい顔が赤くなってる。
「「「「えええええええええええ!」」」」
「うそっ、うそっ!もっ、もしかして女の子?好きな人とか!?」
「ばっ、違うわ。だが今まで出会った女の中では一番マシだとは思っている」
「「「「キャァァァァァァァ!!!!!」」」」
はっ、俺はは今何を………!
「だっだれ!?あっ、もしかして前社交界で一緒になってたキャサリンさんとか!?」
「ふざけるな!あんな女のハズがないだろ!キャサリンからなら使うどころかもらったその日に捨てるわ!」
全く、キャサリンと間違えられるなんて侵害だ。
「第一、男の多くはあの見てくれだけの女をもてはやすようだがあれのどこがいいんだ?俺は不機嫌なオーラを出してるのに話しかけやがって、迷惑をかけられた覚えしかないわ。「おい、じなん。」俺がナーサリーのときも、「じなん!」」
「なによ!」
「放課後になったから来てやったぞ」
「教室の外で待っとけ!」
「う、うい!!」
全く、空気の読めないやつだちんちくりんは。人が話しているところに割り込みやがって………なぜおどおどさせながら逃げるように出ていくのか。少し強く言い過ぎたか。
「それで話を戻すが………………」
ん?
んんん?
んんんんんんんんんんんんんん?
えっ、今のアーニャ?アーニャだよな?
えっ、えっえっ、いつから?いつからいたんだ?
ていうかおれさっきから何の話をしていたんだ?
なぜみんなそんなにニヤニヤしてるんだ!?
「ちょっ、ちょっと待て、ちんちくりん。頼む待て。待ってくれ、違う、違うんだ!待てちんちくりーん!!」
原作はこちら
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