37話:櫛田桔梗の伸ばした手の先にはなにもない【捻デレボッチ主義の教室へ・よう実ss】
こちらは『ようこそ実力至上主義の教室へ』の二次小説です。
『やはり俺の青春ラブコメは間違っている。』のクロスオーバーです。
連載となっています。
前話はこちら
36話:今日の晩ごはんはトルティーヤ【捻デレボッチ主義の教室へ・よう実ss】
37話:櫛田桔梗の伸ばした手の先にはなにもない
「ちょっと男子集まってもらえる?」
これはやばい、俺の中のリトル八幡が警鐘を鳴らしている。思わず左腕の時計の千葉時間を確認するレベル。そして、この声色は小町のプリンを勝手に食べたときと酷似している。俺小町のプリン食べすぎですねぇ。
「どうしたの?」
「平田くん、とりあえず男子を全員起こして!」
なんと平田ボーイのガールフレンドである軽井沢ガールのショーツがロストしてしまったようだ。おっと高円寺がいなくなって口調が移っちまったぜ。
まあそんなことは縦置き、これはパターン青、使徒襲来だ。もちろん向こうからすれば使徒は下着泥棒の俺たち男子らしいのだが。
「分かった。僕たち男子の中に犯人はいないと信じているけど、潔白を証明するためにも荷物検査をしよう」
おいおい、犯人はいなくてもブツはあるかもしれないだろう。頭がおめでたすぎる。俺が犯人なら男子の中にブツを忍ばせてそいつを犯人に仕立て上げるな。
ん?でも実際に見つかったら回収はできないよな。てことはこの状況を作り出したことが目的か。軽井沢に恨みを持ったやつか、あるいは。
「ん?あれおかしい」
「どうしたんだよ寛治、もしかしてお前が盗んだんじゃ」
「ば、バカちげえよ。気が付いたら入ってたんだ」
「犯人はみんなそう言うんだ。おとなしく認めろって」
これはまずいな、スポットを見つけた手柄を横取りされたことは若干腹立たしいが今日までの池のサバイバルスキルはクラスに大いに貢献していることは間違いない。
「じゃ、じゃあ綾小路頼んだ」
「いや、それは」
「だって綾小路が言ったんだろ、隠したほうがいいって」
かわいそうに、あいつ爆弾ゲームとかやったことなさそうだもんな。いやどっちかというと今回のは勝ち抜けの椅子取りゲームか。
このままだと綾小路が犯人になってしまうな。
「お兄ちゃん、万が一、いや億が一友達ができたとしたらちゃんと大事にするんだよ。それはもう小町のように。あっ今の小町的にポイント高い~」
「いや自分で言っちゃあだめでしょ、それ」
はあ、なんでこんなときに春休みのことを思い出すんだ。まあ、小学校も中学校も卒アルの最後のページが白紙だった俺に友達ができるなんて文字通り隕石が落ちるんじゃないかという確率なのかもしれない。もし友達にそんな不幸が訪れるのなら俺は…
「おい、それ貸せ」
「どうするつもりだ」
「あ〜〜〜、軽井沢のパンツ俺のバックの中に入ってたわ」
俺の発現にクラスが騒然となった。
「はっ!?まじでキモいんだけど」
「近寄らないでくれる?」
「てゆうかあいつだれだよ」
最後のはおかしいだろ。いやまあこんなもんか。中学の時に戻ったと考えればいい。
「ちょっと待ってよみんな。比企谷君のカバンから軽井沢さんの下着が出てきたからって犯人だと決めつけるのは早いと思わない?」
「僕も櫛田さんの言うとおりだと思うな」
「平田くんや櫛田さんはみんなにやさしいからそんなこと言えるんだよ」
そうだ俺のことなんて気にしなくていい。
「あなたたち少し冷静になりなさい。彼が仮に犯人だとして盗んだものをカバンに入れたままにするかしら。
おうおう、いつも厳しいこと言うのに今日はいつになく優しいじゃないか、いつもそんな感じでいいんだぞ。
「堀北さんって比企谷君とよく話してるよね」
「あ~私も見たことあるかも~」
そうだ、そうやって突き放してくれ。引き留められると未練が残るだろ。
「もういい、俺は今日以降ここでは生活しない。これでいいだろ」
そうやって足早にさろうとすると、
「ちょっと待ってよ、なんで比企谷君が犠牲にならないといけないの?明らかにこの状況はおかしいのに」
「櫛田、これは気持ちの問題だ。お前が一番理解できるだろ、俺がいなくなるのが一番効率がいいんだ」
「っつ!!」
櫛田、お前はそれでいい。クラスメイトを最後まで気に掛ける優しい女子のままで。
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